「費用対効果」という言葉は、ビジネスでも行政でも頻繁に耳にします。

その式自体は実に単純で、

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費用対効果 = 投資した金額 ÷ 得られた効果

</aside>

という、シンプルな割り算に過ぎません。

しかし実際には、単純さの裏側に数多くの落とし穴が潜んでいます。

データサイエンティストから政治家を目指している私の最初の記事として、なぜ単純な式が簡単ではないと言われているのか、その理由の大枠を解説したいと思います。


1. 式はシンプル、現実はカオス

費用対効果は一見明快ですが、現実にはさまざまな複雑性が存在します。例えば、「1億円投資したら、どれだけ返ってくるか」を考える場合でも、実際にはただの数値の割り算にならない複雑な要素が多数絡みます。

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2. 投資の「足し算」は簡単、効果の「引き算」は難しい

投資の金額は比較的簡単に足し算できますが、効果を正しく算出するのは非常に困難です。その主な理由を3つのポイントに分けて解説します。

① 現実には時間が流れている―割引率と回収期間

費用対効果には必ず「時間軸」が関係します。1年で回収する場合と10年かかる場合では、同じ金額でも実質的な価値が異なります。そこで登場するのが「割引率」という概念です。

行政評価では通常、4%の割引率を用いますが、この数値の設定次第で投資判断が大きく変化します。

② 期待値はあくまで“期待”―確率とばらつき